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西山スマイル介護職員や看護師の出会った、ちょっと感動するお話をお届けします。

2021.10.01食べることの大切さ
管理栄養士/N
 私たちはいつも当たり前に朝昼晩と『食事』をしています。「毎日のメニューを考えるのが面倒」とか、その程度にしか考えていない『食事』。それが当たり前に食べられない時がいつかは来てしまいます。
 西山病院グループに勤めて2年目のこと、重度の誤嚥性肺炎を繰り返している90 歳の方が入院されました。
 食事条件は、ベッド上で背もたれを30度、要介助、水分はジャム状のとろみが必要で特殊な嚥下用スプーンを使用、副食形態はミキサー。これらを守って食事を開始しました。
 入院当初は痰がらみも著明で、食事摂取時のムセも頻回でした。そのような状況でもご本人はしっかりされていて、シルバーカーでの歩行が可能で耳が遠いだけの状態でした。
 その方は、いつも食事介助に恐縮されていた記憶があります。食に対しての意識が高く、ご本人は「自分の手で食べたい、普通(お粥)の食事が食べたい」と強いご希望をお持ちでした。なんとかできないかと多職種で連携・相談し、嚥下訓練やリハビリを行い、食事内容を何度も検討しました。度々発熱し、食事中止・点滴のみという期間もありましたが、ご本人の食事に対する強い思いと頑張りがあって、一年がかりで薄いトロミ・ひと口大・軟飯・常食にまで食事形態を上げることができました。「誤嚥性肺炎を繰り返していたから、自分で普通の食事ができるなんて思わなかった!本当によかった!!」とご家族とともに喜ばれていました。その後、在宅復帰されてご自宅へ戻られましたが、再度、誤嚥性肺炎を発症し入院されました。
 普段できていることができなくなってしまった時、人は初めてその大切さに気づきます。口から普通のご飯が食べられることもそのひとつです。改めて毎日の食事に感謝し、普通に食べられる喜びを教えていただけた出会いでした。

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