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2026.06.03頑なだった父の、小さなありがとう ―画面越しに溶けた、家族の心の壁―
ケアマネジャー/T
ケアマネジャーとして仕事をする中で、時折、言葉にできないほど静かな感動に巡り合います。これは、ある一人暮らしの男性とそのご家族が、病をきっかけに本当の家族の姿に気づかされたときのお話です。
A様はかつて大企業で要職を務め、家庭にあっても厳格な性格でした。「人に弱みを見せるな」という誇りを持っていたA様ですが、認知症の進行は日常の家事を少しずつ奪っていきます。それでも家族の前では決して弱音を吐かず、不安を隠して一人で耐えておられました。
今後の生活について、市内にお住まいのご長女と、遠方にお住まいのご長男(ビデオ通話で参加)を交えて話し合いました。A様は私の前では、実は困っているから手助けをしてほしいと不安なお気持ちを話してくださいました。私たちはその想いを受け止めて具体的な介護サービスを一つひとつ組み立てていきました。
話し合いも終盤に差し掛かった時のことです。A様は画面に映る息子の顔と隣の娘の顔を見つめ、まるで独り言のように、「子どもたちには本当に感謝しているんだ…」と呟かれました。それはこれまであまり口にされることのなかった言葉でした。遠く離れた息子と画面でつながっているという意識が薄れ、照れ隠しのない本音がそのままこぼれ落ちた瞬間でした。
お父さん、と呼びかけるご長女の目から涙が溢れ、画面の向こうのご長男も静かに目元を拭っていました。厳格で近寄りがたい存在だった父が、今は心からの感謝を伝えてくれている。距離を隔てていたビデオ通話の画面越しに、家族の心が静かに重なり合った瞬間でした。
認知症は確かに多くのことを奪っていきますが、頑なだった心を溶かし、家族の想いを繋ぎ直す契機になることもあるのだと教えていただきました。この温かい絆をそっと支えるため、ケアマネジャーとしてこれからも利用者様とご家族の歩みに寄り添っていきたいと思います。
2026.05.12入院・入所前から築く信頼関係
相談員/M
私たち相談員は、ご家族との入院・入所前の相談時にご意向を伺っています。相談時にはご家族の思いがあふれ、「こういう事ができたらいいな」とお気持ちを話してくださるご家族もいらっしゃいます。
A様のご家族は、相談時よりA様の病状への不安や、リハビリに対する思いを抱えておられました。そこで、何にご不安を感じておられるのかを丁寧に伺うとともに、当院での対応についてしっかりと説明する必要があると考えました。まずは転院前の施設へ病状説明の機会を設けていただけないかご相談し、ご家族へ病状説明を行っていただきました。
次に、ご入院までの間に対面や電話にてご要望を傾聴し、当院での対応について丁寧にお伝えしながら、少しでも安心して転院していただけるよう対応させていただきました。
転院後、ご家族より
「自分たちの思いをじっくり聞いていただけて、希望を形にしてもらえたのが本当に嬉しかった。あなたが担当の相談員さんで良かったよ。あなたでなければ西山病院を希望しなかったです。」
とのお言葉をいただく事が出来ました。
相談員として、入院・入所前よりご家族との信頼関係を築く事の大切さを改めて実感する事が出来ました。今後もご本人やご家族に寄り添い、西山グループにして良かったと思っていただけるよう、心のこもった援助をしていきたいと思います。
2026.04.10声になった気持ちを受け取った瞬間
浜名湖園 介護職員/K
最近入所されたA様。口から出てくる言葉は「トイレ、トイレ」「寝る、寝る」といったものが多く、
私が夜勤の際も、「助けてー」「起こしてー」「トイレ」と繰り返し大きな声で訴えられていました。
翌朝、朝食のために他の利用者様をご案内した後、A様はいつものように「トイレ、トイレ」とおっしゃいました。
トイレに行ったばかりでしたので少し様子を見ていましたが、なかなか落ち着かれないご様子であったため、再度トイレへご案内しました。
排泄後、車椅子を押して席へ戻る途中のことです。
A様が「ありがとう、助かった」とおっしゃったのです。
私は、初めて聞くその言葉に驚きました。
本当はこんなふうに思ってくださっていたのだと嬉しくなり、思わず近くにいた職員に「今、『ありがとう、助かった』と言ってくださったんですよ」と伝えてしまいました。
これからも、こうした嬉しい言葉をいただけるよう、声かけや介護に心を込めて取り組んでいきたいと思います。
2026.03.05心がふっと温かくなった日
浜名湖園 介護職員/I
ちょっと「ほっこり」するお話を聞いていただけたらと思います。
介護の仕事に就いて、早十数年が経ちました。
それまでとはまったく違う世界で、「自分にできるのだろうか」と不安な毎日でした。
私が勤め始めた頃は女性が多く、男性職員はほんの一握り。
人間関係の難しさに加え、体力には自信があったものの、実際に働いてみると想像以上に身体への負担が大きく、何度も「もう辞めよう」と思ったものです。
就職前、学校の先生から「その仕事に就いたからには、まず3年は頑張りなさい」と言われました。
負けず嫌いな私は、「こんなことで辞めたら負けだ」と思い、気づけば今日まで続いています。
入所者の皆様は、認知症をはじめ、さまざまな病気を抱えている方がほとんどです。
日々入所者様と向き合う中で、仕事の大変さを実感する毎日でした。
そんなある時、「もう無理かもしれない」と思うほど疲れてしまい、体調を崩して数日お休みをいただきました。
数日ぶりに出勤した朝、入所者様が声をかけてくださいました。
「あんた、どうしたの?」
「しばらくお休みしてたの?」
「もう辞めたかと思ったよ」
「よかったぁ」
――えっ?そんなに心配してくれていたの?
正直、そんな言葉をいただけるとは思っていませんでした。
胸がいっぱいになり、今まで「もう無理」と思っていた気持ちが一瞬で吹き飛びました。
「また頑張らなくては」
そう思えた、心がふっと温かくなった出来事でした。
2026.02.09“今したいこと”を叶えるために―ご自宅で過ごすという選択
介護支援専門員/S
ご自宅に戻られたのは、70代の胆管炎の女性でした。
治療を優先する主治医の考えと、「治療を続けながらでも自宅で過ごさせてあげたい」というご家族の想いには大きな隔たりがあり、私は在宅介護の難しさを強く感じていました。
日に日に腹水が増え、呼吸も苦しくなり、せん妄が見られることもありました。
そんな時でも、ご家族は必ず「お母さん、どうしたい?どうしたら楽になる?」と声をかけ、ご本人の意思を大切にされていました。
輸血や酸素が必要な状態を前に、私は「入院された方が安心なのではないか」と迷う気持ちもありました。
主な介護者であるご子息は、ご本人の羞恥心への配慮を最後まで大切にされ、ヘルパーや女性のごきょうだいの協力を得ながら排泄介助を行っておられました。
ある日、ご子息がこう話してくださいました。
「母は“家に帰りたい”と言ったのです。顔を拭きたい、口を潤したい、孫に会いたい。今したいことを、すぐに叶えてあげられるのは家族しかいないと思いました」
その言葉に、私はハッとさせられました。
治療だけでなく、その方の“今を生きる時間”を支えることの大切さを学ばせていただきました。
2026.01.06静かに心が動いたできごと
看護師/M
今回は、デイケアでの関わりの中で、職員の心に静かに残った「ちょっといい話」をご紹介します。
大きな出来事ではありませんが、思わず胸が熱くなったり、はっと気づかされたりした、そんな瞬間です。
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「声にのせて伝わるもの」
A様は80代の男性。ご自身で体を動かすことはほとんどなく、声を発することもめったにありません。
職員との意思疎通は「手を握ること」が中心です。
お風呂がお好きなA様。
「お風呂、気持ちよかったですか?」と声をかけながら手を握ると、ぎゅっと力強く握り返してくれました。
別の日、入浴後にベッドで休まれていたときのことです。
「Aさん、こんにちは」と声をかけると、ぱちっと目を開けて、はっきりと「こんにちは」と返ってきました。
さらに、「お風呂で疲れたと思いますので、ゆっくりしてくださいね」と伝えると、「ありがとう」と一言。
あまりにも自然なやりとりに、思わず「今のは夢だったかな」と感じてしまうほどでした。
声をかけることの大切さを改めて教えていただきました。
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「思いやりは、そっとそこに」
B様は80代の男性。認知症の影響で、時間帯によって大きな声が出たり、落ち着かない様子が見られることがあります。
その日隣に座っていたC様は視覚に障害があり、テーブルの上の物をはっきり認識できません。
ゴミを手にしたまま、どこに捨てたらよいか迷われていたC様。
するとB様が、そっとC様の手に触れ、ゴミ箱のある方向へとやさしく手を導いてくださいました。
これまで歩んでこられた人生の中で培われた、人への気配りや思いやりが、今もなお息づいていることを感じさせてくれる場面でした。
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「当たり前を大切にする姿」
D様は60代の男性。排泄後、洗面所に掲示されている「基本の手洗い」の写真を見ながら、毎回丁寧に手洗いをしてくださいます。
それを目にしたとき、職員はふと立ち止まって考えさせられます。
「基本に沿って忠実に行うこと」の大切さを、改めて教えていただいているように感じるのです。
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「心が満たされるひとコマ」
午後のレクリエーション。
これまで声をかけても参加を辞退されていたお二人が、その日はなぜかお二人そろって参加してくださいました。
楽しそうな表情で過ごされる様子を見て、担当した職員にとっては、それだけで心が満たされる出来事となりました。
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利用者様の笑顔や、ふとした優しさ、元気な声。
その一つひとつが、私たち職員の力の源になっています。
「介護」という仕事に誇りを持ち、これからもしっかりと前に進んでいきたいと思います。
2025.12.01お餅が食べたい
管理栄養士/E
担当している利用者様の中に、「お餅が食べたい」と何度も口にされる方がいらっしゃいました。
そのお気持ちは強く、療養棟の看護師からも「何とか叶えてあげられないだろうか」と相談が上がるほどでした。
市販の切り餅は窒息の危険があり扱いが難しいため、管理栄養士がだんご粉と酵素を使って、のどごしよく安全に召し上がれるお餅を手作りしました。
初めて召し上がられた際、利用者様は「これじゃ柔らかすぎるよ」とおっしゃりながらも、「おいしい、ありがとう」と喜ばれていました。
その後も「月に1回はお餅を食べたい」とお話しされ、初回からの4か月間で計3回、お餅を召し上がっていただきました。
「お餅はね、こんがり焼いたのがおいしいんだよ」と教えてくださったこともあり、バーナーで表面をあぶったお餅をお出ししたこともありました。
最後に召し上がっていただいた際、心不全の悪化で食事量が落ちていましたが、お餅は勢いよく全て召し上がり、お餅への愛を語ってくださいました。
お餅を召し上がっていただいたこの時間は、私たち職員にとってもかけがえのない思い出となりました。
今後も安全に配慮しながら、利用者様の「食べたい」という思いを叶えられるよう努めて参ります。
2025.11.08夫婦の笑顔
リハビリ職員/K
私が担当しているご夫婦についてのお話です。
もともと私は奥様のリハビリを担当していました。奥様は日中のほとんどをベッド上で過ごされ、表情が硬く、会話もなかなかうまくいかない状態でした。しかし、声をかけるとご主人の名前を口にされることがあり、そのたびにご主人への深い思いを感じていました。
リハビリを始めてから数か月後、ご主人も当院へ入所され、私が担当させていただくことになりました。ご主人は車椅子を自力で操作でき、会話も問題なく行える方でした。生活の中で奥様と会える時間は限られており、「もう少し会えるといいな」と話されることもありました。そこで私は、リハビリの時間にも面会の機会を設けられないかと考えました。
実際にお二人が面会されると、奥様の表情がぱっと明るくなり、「お父さん!」と元気な声で呼ばれました。ご主人も「元気かい、会いたかったよ」と優しい笑顔を見せてくださり、その光景に周囲も思わず笑顔になりました。面会のあとには「会えてよかった。本当にありがとう」とお言葉をいただきました。
それ以降、お互いのリハビリの際に面会することが日課となりました。奥様は以前に比べて反応が良くなり、会話が成立する場面や笑顔が見られることが増えました。ご主人も「また会えるように頑張るよ」と意欲的にリハビリに取り組まれるようになりました。他の職員からも「ご夫婦で喜ばれている姿を見たよ」と声をかけられることがあり、とても温かい時間となっています。
今回の出来事を通して、患者様の笑顔や想いを大切にし、その希望を少しでも叶えられるような関わりを続けていきたいと、改めて感じました。
2025.10.08気持ちに寄り添う
保健師/Y
地域包括支援センターでは、地域の皆様からのご相談を受け、ご自宅へ訪問してお話を伺っています。
ある日、高齢のお父様とお二人で暮らしているお嬢様から、一本のお電話をいただきました。
訪問をご提案しましたが、そのときは「大丈夫です」とお断りに。
しばらくして、私が不在の際、お嬢様が直接事務所を訪ねてくださったようでした。「対応した職員の声かけが優しく、安心できた」と後に話しくださいました。
改めてご自宅を訪問し、お話を伺うことができました。お嬢様は疲れた様子で、「父と二人きりで、自分のことが何もできないんです。もう限界」と打ち明けてくださいました。相談すること自体に大きな勇気が必要だったことに、そのとき気づかされました。
関わりを重ねる中で信頼していただき、「相談してよかった。話せる人がいるだけで安心した」と涙ぐむお嬢様の姿が印象的でした。
一対一で向き合う支援のなかでは、時に心がすり減るような場面もありますが、一人ひとりに寄り添いながら丁寧に対応しています。そのような毎日の中で、このような温かい言葉をいただくたびに、自分の行動が役に立っていると感じ、報われた気持ちになります。
これからも「気持ちのわかる親切」を大切に、地域の皆さまに寄り添っていきたいと思います。
2025.09.04「散歩に行きたい」から始まった夏祭り
看護師/T&S
本館3階病棟の患者様から多く寄せられる「散歩に行きたい」という希望を叶えるため、佐鳴湖花火大会に合わせて夏祭りを企画しました。
日中は、夏祭りの雰囲気を感じていただけるようヨーヨー釣りやボールすくいを行いました。
患者様は童心にかえったように夢中でヨーヨーやボールを追いかけ、すくい上げた時には満面の笑みを見せてくださり、その姿にスタッフも癒されました。
ヨーヨーを片手に遊ぶ患者様の表情は、普段なかなか見られない笑顔であふれていました。
また、栄養課の協力によりスイカのデザートも提供いたしました。
鮮やかな色合いに患者様もスタッフも見惚れ、「美味しい」と笑顔で召し上がっていました。
夜には佐鳴湖花火大会に合わせ、体調に配慮しながら参加可能な患者様を新館屋上へご案内しました。
久しぶりに外気に触れた患者様は、夏の暑さや風を感じながらスタッフとの会話を楽しみ、花火の音や光に歓声を上げる姿が見られました。
「暑いね、外は」「綺麗だね」「あーすごい!見えた」「僕が子どもの頃は花火なんてなかったよ。いつからかな、大きな花火を見たのは」など、思い出を語りながら花火を鑑賞される患者様の表情は笑顔に満ち、日常とは違ったひとときを過ごしていただけました。
離床が難しい患者様にも、ベッドの角度を調整し窓越しに花火をご覧いただけるよう工夫しました。
音や光を感じながら、それぞれのペースで季節の風物詩を楽しんでいただけたと思います。
屋上でも室内でも、患者様と一緒に花火の迫力や美しさを味わい、笑顔や驚きの表情に触れることができ、私たちスタッフも「明日からまた頑張ろう」と大きな力をいただきました。
観覧後には水分補給をし、「いい夢見るね」と休まれる患者様の姿に、心が温まりました。
2025.08.01ご家族との思い出の共有
介護職員/I
A様が施設に入居されてから2年ほど経った頃、車椅子で過ごされる時間が少なくなり、ベッドで過ごすことが増えてきました。
それに伴い、ご家族がお昼の時間に面会に来られ、食事の介助をされるようになりました。
ある日、私がA様のお部屋の前を通りかかったときのことです。面会に来ていたお嬢様が、深いため息をつきながら「今日も寝ちゃってるね」とつぶやいているのが聞こえました。
そこでお声をかけさせていただき、入居された当初のA様との思い出をお話ししました。
「入居されたばかりの頃、私に“トイレ坊や”とあだ名をつけてくださったんですよ。出勤してご挨拶に伺うと、『今日もトイレ坊やが来たね』と笑顔で迎えてくださって……」
「『今日もお綺麗ですね』とお声をかけると、笑いながら『ばか』って返してくれるのが、いつものやりとりだったんです」
そんなお話をすると、お嬢様は「母にそんな一面があったんですね」と驚いた様子で話されていました。
A様がご家族には見せていなかった一面を、私たちが知っていて、そしてそれをお伝えできたことが、何とも嬉しく、心に残る出来事でした。
これからもたくさんの入居者様やご家族と関わる中で、今回の経験を大切にしながら、普段のご様子や何気ないエピソードをお伝えしていけたらと思います。
2025.07.07名前を呼んでもらった日〜心に響く小さな励まし〜
看護師/N
4月に部署異動となり、この療養棟に来てから3か月が経ちました。初めは環境変化に戸惑うことも多く、慣れることに必死でした。
そのような中、ご利用者が私の名前を呼んでくれたのです。
「もう覚えてくれたんですね」と、つい前のめりになって聞いてしまいました。すると「知ってるよ」と、笑顔で返してくださり、些細なことですが、余裕がなくなっていた私にとってはとても温かい出来事でした。
今振り返ると、仕事がうまくいかなかったり自信をなくしてモチベーションが下がったりした時は、いつもご利用者やご家族の言葉と笑顔に励まされてきました。
まだこの療養棟に来て日は浅いですが、すでにご利用者から元気をもらい、良い刺激を受けています。これからもご利用者やご家族とのコミュニケーションを大切にし、より良い関係を築いていきたいと思います。
当療養棟では認知症ケア専門士を中心に、スタッフ全員が認知症について学びながら日々ご利用者と向き合っています。
認知症についてはまだまだ勉強中ですが、ご利用者の気持ちに寄り添い、穏やかな日々を過ごしていただけるよう努力していきたいと思います。
2025.06.03記憶の街をともに歩いて
介護職員/K
ハイジの家に勤務して、早くも三度目の春を迎えました。入居者様と日常を共にする中で、心に残る場面がいくつもありました。
その中の一つに、A様との出来事があります。A様は若い頃、集団就職でたたき上げ、「炊事洗濯も新人の仕事」という上下関係のはっきりした中で、長年働き続けてこられた方です。晩年までお仕事をされ、夜は居酒屋でお酒を楽しまれていたそうで、当時住んでいた街の話をされるときは、とても楽しそうな表情をされます。
ある日、ふとすれ違った際に「トイレが汚かったからな、掃除しておいた」と、声をかけてくださいました。私は深く感謝を伝えると、「いいよ、大したことじゃない」「仕方ねぇな」
と、返されました。ご自身から行動されたその姿に、A様らしさと優しさを感じました。
A様は、普段はレクリエーションに参加されない方です。傾聴していたお話から、ある日ふと思い立って、タブレットの地図アプリで航空写真や街並みを一緒に見てみました。
「いつもお話されていた場所の写真ですが、ここでしょうか?」と、お声がけすると、画面をじっと見つめて、「そうそう、ここだよ」と答えてくださいました。その後、しばらく沈黙がありましたが、やがて「こんな貴重な物をありがとうね。ありがとう、ありがとう」と言葉が返ってきました。
部屋は薄明るく、細かい表情まではわかりませんでしたが、その時のA様の表情は、確かに笑顔に見えました。
「気持ちの分かる親切」
声に出すと心に沁みます。これからも、親切とおせっかいの境界線に注意しながら、上司や先輩方、同僚の助言に耳を傾け、入居者様の生活に寄り添っていきます。
2025.05.01偶然が重なったレクリエーション
看護師 H&M
4月6日(日)西山ウエルケア4・5階療養棟では、お花見ドライブのレクリエーションを計画していました。しかし、当日は雨模様だったので、ショッピングモールでのお買い物に予定変更となってしまいました。
そのことを伝えると、A様は「それなら行かんでいい、他の人を連れて行ってやって」と遠慮がちな反応。何度かお誘いすると、渋々承諾してくださり、一緒に行くことができました。
遠慮がちだったA様は、ドライブ途中に桜を見ることができて「きれいだね」と表情が明るくなり、会話も弾んでいきました。
ショッピングモールに着くと「この店にしか用はない、娘が働いている」とおっしゃるので、半信半疑でお店を訪ねると、なんとカウンターに娘さんの姿が!
キーパーソン(患者側責任者)の方には外出のことを連絡していましたが、娘さんには連絡していなかったため、娘さんは驚いた様子でした。A様は手を握り合って感動の涙を流し、喜んでいる様子でした。
また、A様が帰りの車内で「気分がスッとした」と何度も呟いていらっしゃったのが印象的でした。
たまたま雨で桜を見に行く予定がお買い物に変更になり、職員として「少し残念だな」という気持ちでしたが、A様の満足気な表情が最後に見られ「雨で良かったな」と思えたレクリエーションになりました。
2025.04.02思いに寄り添う
医療相談員/S
西山病院グループに勤めて早1年。まだまだ半人前ですが、今まで携わったご家族で特に印象に残っている方がいます。
地域包括支援センターからの紹介で、自宅でご家族が必死に介護をされている方がおり、一度入院の話を聞いてもらえないか、という相談がありました。ご家族から話をお聞きすると、ご本人は慣れ親しんだ自宅が好きで、配偶者と一緒にいたいという思いがある一方で、高齢でほとんど介助が必要な状態。配偶者も認知症があり、ご本人の介護をするのは、息子様しかいませんでした。相談に来られましたが、やはり自宅で頑張りたいという気持ちが強く、その時は入院に至りませんでした。
その後、食事が摂れなくなり、介助量が多くなったりと、息子様も限界となり、ご本人納得の上、当院に入院することになりました。
私は、息子様の「本人は家が好きだから最後まで家で看てあげたかった。でも、自分ひとりではやっぱり無理で…」と複雑そうに話されたご家族の姿がずっと気になり、ご本人やご家族にとって「入院」という決断はよかったのだろうか、としばらく考えていました。
入院後、1ヶ月ほどで亡くなってしまいましたが、最後に挨拶をした際に「本当に入れてよかった。あの時、入れなかったらどうなっていたか…」とお言葉をいただきました。
偶然にも、仕事外でちょうど息子様と会う機会があり、「いろいろと整理が終わりました。本当によくしてくれました。」と、また感謝の言葉をいただきました。
ご本人、ご家族の思いをすべて汲み取るのは難しいけれど、これからも出来る限り寄り添って接していきたいと思う出来事でした。
2025.03.03浜名湖園建物改修工事にて
事務職員/S
浜名湖園では、改修工事による事業所移動に伴い、引っ越し作業というものが付き物となっております。
築47年の蓄積の賜物、一日二日では終わりません。
設立当初からあるであろう事務机に始まり、凹んで閉まらないロッカー、電気室に隠れていたレントゲン機器、画家名のない油絵、カモメを模した金属製オブジェ、水銀血圧計、アンティーク調のガラス棚、リモコンのないテレビ、ラジオ体操のカセット、演劇で使用していた小道具、聖子ちゃんカットの職員アルバム、ナショナル製の白熱電球・・・等が出てきました。
目の前にある昭和平成の数多の産物を見て、「使わなくなったら然るべき時に片づけて」と思いましたが、同時に使っていた当時のご利用者や職員について知り、昔を思い出すよいきっかけになりました。
会計上は0円や備忘価格の1円ですが、思い出はプライスレス。
改修により生まれ変わった浜名湖園。
ここでの生活が、ご利用される方たちにとって素敵な思い出として書き加えられていくことを願っております。
そのためにも引っ越し作業頑張るぞ!
2025.02.01最後まで家で暮らしたい
介護支援専門員/O
「私は、施設に入る気はありません。私は、頑固で変わり者だからごめんね。」
A様は、奥様と二人暮らしで、奥様と自宅で生活をすることを何よりも大切にしている方でした。
A様は、夏頃から体力が低下し、転ぶことも増えていきました。
「奥様に食事を出す」という毎日の日課が徐々に行えなくなり、別居の息子様や夫婦を支援する専門職は、夫婦二人での生活に限界を感じていました。
しかし、A様は最後まで施設に入所することに同意しませんでした。
今後の方針を話し合う場で、「ギリギリまで夫婦二人で過ごしたい。どちらかが欠けた時点で在宅生活を諦めます。」というご夫婦の強い希望が示され、自宅での生活を続けていく事になりました。
その後、医師や薬剤師、看護師や介護士が息子様と協働してご夫婦の支援に取り組みましたが、A様は年末に救急搬送され、そのまま病院で息を引き取りました。
私は、どこまでA様の意向を尊重できたのかとわだかまりを感じていましたが、息子様からは「父の望みは叶えられたと思います。」という言葉を頂き、長い期間担当してきた介護士からは「本当にギリギリまでやりきりましたね。お疲れさまでした。」と労いの言葉を頂きました。
それらの言葉から、私自身が本当に多くの仲間とA様の支援に取り組めたのだと実感できました。
これからもご利用者やご家族の想いを一つでも多く実現できるよう、微力ながら取り組んでいきたいと深く感じた出来事でした。
2025.01.07食べたいを叶える
管理栄養士/Y
私たち管理栄養士は、ターミナルの患者様で、段々と食べることが困難になってきた方の「あれが食べたい!」の気持ちにお応えして、その方のお好きなものを、食べることができる形にしてご提供させていただくことがあります。
ある患者様は、果物がお好きであったため、果物をミキサーにかけてご提供しました。
また、ある患者様は、お寿司が食べたいとのことで、おかゆをゼリー状にする食品を使って作ったシャリに、すりつぶしたネタを乗せてご提供させていただきました。
ご提供させていただいた患者様すべての方に喜んでいただくことができ、涙を流して感謝してくださる患者様もいらっしゃいました。
なかなか食べることができなくなってしまった患者様においても、栄養士として「食べたい!」という気持ちはできるだけ尊重したいと考えています。
患者様の思いに応えるため、ご家族も含め、多職種の協力が必要になります。
今後も、多職種で協力し患者様の「食べたい!」を叶えるため、努力していきます。
2024.12.02寄り添う看護
看護師/A
通所リハビリテーションでは、毎日沢山の方がご自分の健康の為に通われています。
ご利用者であるN様は、時々愛犬に噛まれて怪我をされる為、怪我の処置で関わることが多い方です。
ある時、「ちょっと話を聞いて欲しい」と、お話がありました。
詳しく話を聞いてみると、首元にゴリゴリと違和感があり受診され、
その時に、医師より癌かもしれないから精密検査が必要と言われ頭が真っ白になったそうです。
とても不安な表情をされていました。
疾患を取り除くことはできませんが、少しでも不安が少なくなるよう側で寄り添いお話を聞かせて頂きました。
それから、検査の結果が出るまでの時間、なるべくN様に声かけをして、お話を伺うようにしました。
数日後…検査の結果、癌ではない事がわかり、ほっとされた様子で、「話を聞いてくれてありがとう」と笑顔で教えてくださいました。
まだ、首に腫れが見られる為、定期受診が必要ですが、ご利用者の不安が少なくなるよう、これからも寄り添う看護を大切にしていきたいと改めて思いました。
2024.11.01芋掘りがしたい!
理学療法士/H
西山ウエルケアには、屋外菜園があります。
今までに大根やキュウリ、ピーマンなど色々な野菜を育て、収穫を楽しみました。収穫した野菜は、栄養士がメニューを考え、入所者様に召し上がっていただいています。
朝晩少しずつ涼しくなってきた頃、「そろそろサツマイモの収穫かな?」と職員同士で話していました。
リハビリの際に「何かやりたい事はありますか?」と、ある入所者様に聞いたところ、「昔は農家をやっていてね。芋掘りがしたい!」とのお言葉をいただきました。
その方は普段、積極的に何かをしたいと話されるタイプではなく、「芋掘りがしたい」とハッキリ希望された事に驚きました。そして、サツマイモの収穫作業に参加していただく事にしました。
当日は晴天。久しぶりの屋外に、「気持ち良いね!」と参加された方は口々に仰っていました。
そしていよいよ、芋掘りがスタート!
勢いよく土を掘って、サツマイモを探していきます。次々に「あった!」「こんな大きいのがとれたよ!」と報告して下さいます。
「芋掘りがしたい」と希望されていた入所者様も、とても嬉しそうにサツマイモを収穫し、笑顔を見せて下さいました。
今回、入所者様の希望を実現出来た事で、とても素敵な笑顔を見せていただき、職員も温かい気持ちになる事が出来ました。
今後も入所者様の「したい」「やってみたい」を聞きながら、皆様の笑顔が増えるよう取り組んでいきたいと思います。
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